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■ 普通じゃ、だめなんだ...

 意外だった。 埼玉県の北西部に位置する、飯能市。

東京都内の富裕層が買い手となって別荘、別宅の取引が結構あると言う。

その市内で、孤軍奮闘している仲介業者さんと縁あって、話を聞く機会があった。

 

 概ね1,200万円から1,500万円位の微妙な価格帯の物件が売れ筋と言う。

それ以上の金額になると秩父、軽井沢など、有名な地域にお客さんが逃げてしまう。

 

 先日、東京都内のお客さんが実際に買われたという物件を見せてもらう事になった。

最寄の西武池袋線の駅からバスで、何と40分という立地にあり、想像出来なかった。

 

  古い街道を往く。 予想してた以上に家は所々、左右に建ち並んでいる。

その道すがら、社長さんの熱心な説明に関心してしまった...

 

 

 『この辺りで売れる物件かどうかは、直感ですぐに分かるよんだよ~』

実際、売れているものは土地や別荘というよりも、古民家風なものだった。

 

 市内の人口は既に減少傾向で、空家の数も相当多いと言う。

売れるのは旧農家さんの家だったり、眺めや景色のいい物件だ。

裏に小川が流れているような物件、夏になると蛍が現れる物件なども売れる。

 

 『あっ、ああいう家は直ぐに売れるんだよ。 こういう家は、売れないんだよ..』

車の中でいちいち指を指しながら、瞬時に判断してくれた。

そこに人が住んでいようがいまいが、お構いなしの説明だから、苦笑いした。

 

 ようやく、売却されたという旧農家さんの家に到着した。

駐車スペースはやっぱり広い。 敷地は300坪。裏山があり、井戸水が何本もある。 

 

 左手に古い平家、といっても廃家だ。 窓や戸はなくて、黒ずんだ畳が吹きさらしだ。

右手には2階建ての本宅が建っている。 7~8人は余裕で住める、相当な広さだ。

 

 廃家は少なくても60年以上前の建築物。 本宅は25年経過しているが、立派な家だ。

今、再建築したら数千万円は軽く超える造りのように見える。

この左右のコントラストが、何とも言えない非日常の雰囲気を醸し出している。

 

 社会の雑踏からは完全に隔離されたような空間で、暫く佇んでしまった。

すると、社長さんが再び近寄って来て、私にこう耳打ちした。

 

『 お陰で、普通の家は全く売れなくなってしまった。 見向きもされない 』

『 普通じゃ、駄目なんだよね 』

 

 人間は、普通がいい、と言う。

不動産は普通じゃない物件を探すのか、見つけられるのか...

それとも、普通の物件を普通じゃない条件で取引することになるのか...

 

 久しぶりの校外学習みたいな気分になったが、学校よりも勉強になった。

別れ際、深くお辞儀をしたら社長さんの弾けた笑顔が眩しくて、気持ちは救われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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